もっと詳しくモンテッソーリ
モンテッソーリ教育は、大きく分けて4つの分野に分かれております。日常生活の練習・感覚教育・数教育・言語教育です。
簡単にそれぞれの分野をご説明いたします。
この時期、子どもは何も出来ないのでは無く、何でも出来得る時期なのです。
日常生活の練習とは、私たち個人と社会を結ぶ為にとても大切なものです。
社会の中で生きて行く為には、色々な規律があります。その規律の基礎となるものがこの日常生活の練習には多々含まれています。それ故、今この時期にどんな活動よりも早く行うのです。
例えば、「集中する事」。M・モンテッソーリは、“集中は性格の基礎を創り、社会的行動を準備する。“といっています。当にその通りであり、全ての根本は性格の基礎を創ることにはじまるからです。
またこの単元は、我慢すること、順番を待つこと、世界には自分だけでは無いのだということを知る大きな要因となることでしょう。
つまり、日常生活の練習は、これから後の活動、この後の単元の基本になります。
ただ「歩く」を細かく分析して行うことにより、本当の形、一番行いやすい形、美しい形が見えて来るのです。
感覚教育とは、ある特定の教具を使い、それぞれの感覚を伸ばし敏感にしていこうとするものです。
私たちは、色々の感覚の中で生きています。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚などがそれです。それぞれの感覚を敏感にしていくことは、私たちが安全に生活する上でとても大切なことだと言えます。何かの感覚に経験不足が見られるならば、教具の中で経験させ、また未発達な感覚が見られるなら、他の感覚を磨くことにより補っていきます。一番守らなければならない子どもたちが、子どもたち自身でも自分を守ることが出来るように導いていきます。
3歳前後~6歳までは、感覚の敏感期と呼ばれ、この感覚の敏感期にモンテッソーリ教育に措ける「感覚教育」は精神の発達にも影響を与えるといえます。
M・モンテッソーリも“人生の諸所の時期に応じて様々な心理面があると認められている。(中略)肉体の発達の諸段階と一致している点で興味深い”と言っています。
次に数教育とは、足し算・引き算・掛け算・割り算、数の基本を機械的にでは無く、人間が生きて行く上で必要なものとして教えていきます。
この世界で、感情以外のものは全て数から成っていると言っても過言ではないでしょう。鉛筆の長さも、家の間取りも、駅までの距離も、大きなものは、地球の大きさだって、更には宇宙の広さだって数で表す事が出来ます。私たちを取り巻く物理的な物全て数で表す事ができるのです。
モンテッソーリ教育の言う所の数の敏感期は、2歳半程からスタートしています。今までの概念からは、2歳半の子どもに数・算数が解る筈が無いとされていました。
子どもは必要な時、必要な物を与えていかないと一生理解しないものです。
子ども達の物に対する興味を失わせず、数への理解を深めていきたいものです。
モンテッソーリ教育のプログラムでは、7歳までに、数の紹介・十進法・連続数・暗算・抽象への過程・分数・幾何への導入・時計の敏感期があるとされており、この時期までに先の事柄を獲得し得るとされています。
最後は、言語教育です。言語は人が生きていくうえで不可欠なものです。
人と人との最も手短なコミュニケーションの手段が言語です。M・モンテッソーリは、“言語は社会生活の基礎と考えている。”と言っています。また、“言語こそが人間集団に国家にまとまる事を可能にする。
”とも言っています。これは、集団行動をいつもとっていなさい、とか列を乱すなとかと言う意味ではありません。その集団例えば国家などの中で、自分がどのような立場にいるのか、自分が何をすべきなのか、自分の役割とは何なのか、これらを正しい言語の使用によって理解し実行して行く事なのです。
また、言語とは不思議なもので住んでいる場所によって違い、その意味を理解するのは難しい事です。
しかし、英語のLOVE も日本語の愛も形は違えども意味は同じです。これは人が感じることは皆同じであるという証でしょう。この様に私たちが感じたこと思ったことを人に知らせる為には、言語が不可欠です。自分の気持ちを詳しく、そしてより良く知ってもらう為には、多くの語彙を持っていたほうが良いでしょう。
小さな子どもが字を書かなくても、文を読まなくても良いと思ってはいけません。
字を知りたい、字を書きたい、それは自分を知って欲しい自分の考えている事の意思表示なのです。
言語教育を通して教えていくのは、人と人との結びつき、社会性に他ならないのです。
この4分野と平行して文化という項目があります。文化は、私たちが生活して行く上での知的基準であると言えます。
この項では世界的に共通して言うことの出来る文化的事柄を学びます。M・モンテッソーリは、“子どもは知られざる力”を与えられている、と言っています。故にそれらを子どもに伝達すると言う事は、未来への導きと人間の可能性の発展に繋がります。
宇宙の成り立ち、地球の成り立ち、そこにある国、そこで生きる私たちも含め生き物達の事を学びます。ここで使う教具は、ほとんどが手作りになります。自分の文化の歩みともいえるでしょう。
最後に申し上げたいのは、私たちモンテッソーリ教師は、自分が今まで感じた事、知っている事、体験した事、そしてそれに関して感じ得た事など全人格を懸けて子どもたちに接しているということです。またその為の努力も決して惜しみません。
モンテッソーリ教育とは、自分の成り立ちを意味付けていく教育であり、自らの重要性に気づかせてくれる教育と言えるでしょう。